ゆささんからの寄稿作品
絶体絶命のシーズン
投稿:ゆさ:2010年9月4日
更新:2010年9月4日
「ところでさぁ」
筒井さんの顔がいきなりずいっと目の前に迫ってきたので、僕は思わずのけぞった。
「千本木くんと桃井さんのなれそめってゆーか、くわしいコト聞いてないんだけど、どうなのよ?」
ひーっ、ついに来たよ、この質問が。
いつか誰かにつっこまれるとは思ってたけど…
「夜這いに行った時に千本木くん、片想いだって言ってたよね? まさか桃井さん、コクられて振っちゃたとか?!」
うう…筒井さんの目が怖い。
いつの間にか他の女子も数人集まってきている。
僕は隣にいる椎名さんをちらりと見た。が、彼女の「菜々子ちゃん、がんばれ!」の一言に、助けてもらうのをあきらめた。
納得のいく答えを聞くまでは解放してくれるわけないよね、やっぱり。
「えーっと、あの……はじめは断ったというか、その……」
「断った?! それで?!」
ああどうしよう。
適当に言い逃れたらいいのはわかってるんだけど、うまく説明できないよ。
背中一面にびっしょり冷や汗をかいて、僕はこの体になってから何度目かの絶体絶命の危機に陥っていた。
「あれ、みんなでナイショ話?」
頭の上でのんきな声。
この時ほど千本木の登場をありがたいと思ったことはないかもしれない。
千本木はその場の空気で僕の危機的な状況を察したのか、(任せろ)と目で伝えてきた。
「千本木くん! ちょうど今、桃井さんに二人が両想いになるまでの話を聞いてたんだけど、はじめは振られたってホント?!」
「うん、ホント。でもあきらめきれなくて何度も粘って、やっとOKもらえたよ」
千本木がにっこり笑ってそう言うと、周りからきゃーと悲鳴が上がった。都合の悪い部分はすべて省略。もちろん僕に異存はない。
「いーなー、あたしも千本木くんに何度もアタックされたい〜」
「こんなかっこいい人振るなんて、桃井さんゼイタクすぎ!」
「えー千本木サン、質問よろしいでしょうか?」
筒井さんがこぶしをマイクに見立てて、千本木の前に突き出す。まるで芸能人の交際会見みたい。千本木も悪ノリして、僕の肩をぎゅっと抱きよせてくる。ドキッとしたけど振り払うわけにもいかず、そのままじっとしていた。
「はい、どーぞ」
「千本木サンの粘り勝ちで交際に至ったとのことですが、桃井サンの心を動かした決め手はなんだと思いますか?」
「うーん、誠意かな」
(嘘をつけ!)と思ったものの、反論したらしたで理由を聞かれるだろうし、かと言ってこの場をうまく切り抜けるすべもない。
救世主のはずだった千本木は、根掘り葉掘り聞かれてもへにょへにょ笑顔でまんざらでもない様子だ。しゃくにさわるけど、なんだか可愛い。僕もつられて微笑んでしまった。
はぁ…しょうがないか。千本木、嬉しそうだし。ますますつけあがりそうな気がするけどさ。
でもどうしよ、この人達。
芸能リポーターと化した女子の面々にこぶしマイクを突きつけられた僕は、どうやらさらなる窮地に立たされたようだった。
ゆさです。
もえじろさんにまんまとのせられて(^^;紀伊國屋書店のペーパーのイメージ小説を書いてしまいました♪
あいかわらず妄想炸裂しまくってます。
このイラストから何故にこんな話になるのか、自分自身ナゾです(^^;;
私にしては珍しいコメディタッチかな。
楽しんでいただけたなら幸いです(^^)
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いただいた感想一覧
ゆさ
投稿日時 2010-9-5 0:15
もえじろさん、コメントどうもです〜(^^)/
こちらこそ、ストーリーページに載せていただけるとは思ってなかったのでびっくり! ありがとうございます♪
無茶振りには参りましたけど、PCの前に座って書き始めたら、意外と楽しい作業となりました。
まさか書くとは思ってなかったでしょ?
いや、実はもえじろさんの思うつぼだったりして(^^;;
こちらこそ、ストーリーページに載せていただけるとは思ってなかったのでびっくり! ありがとうございます♪
無茶振りには参りましたけど、PCの前に座って書き始めたら、意外と楽しい作業となりました。
まさか書くとは思ってなかったでしょ?
いや、実はもえじろさんの思うつぼだったりして(^^;;
もえじろ
投稿日時 2010-9-4 23:05
ブログでも書きましたが、ホント無茶振りに答えてもらっちゃってすみませ〜ん。。
でも今回も、筒井さんがあきらに二人のなれそめを問いただすっていう、ストーリーの目の付けどころがおもしろいですね(^^)
あきらのうろたえっぷりと、千本木のノーテンキさがいいです!
アヴァルス9月号の56話を読んだ後だと、千本木のへにょへにょ感も余計に伝わってきますね(^^)/
でも今回も、筒井さんがあきらに二人のなれそめを問いただすっていう、ストーリーの目の付けどころがおもしろいですね(^^)
あきらのうろたえっぷりと、千本木のノーテンキさがいいです!
アヴァルス9月号の56話を読んだ後だと、千本木のへにょへにょ感も余計に伝わってきますね(^^)/