みみさんからの寄稿作品

ドキドキの暴走

投稿:みみ:2009年12月11日
この日、僕は日直だった。
日誌のハンコを職員室で押してもらって教室に戻ると、千本木が座っていた。
「あれ、千本木まだいたの?」
「あきら、今日はバイトないって言ってたから一緒に帰ろうと思って」
千本木はまぶしいくらいの笑顔を僕に向けた。
「う、うん」
男友達だった時とは違い、甘い雰囲気の漂う笑顔に包み込まれるような感じがしてドキッとした。

たわいもない会話をしながら、正門を出ようとした時だった。
「あ、あのっ!」後ろから声がかかった。
ビクッとして振り向くと、そこには名前はわからない隣のクラスの男の子が顔を赤くして、立っていた。

「もっ桃井さん、俺、隣のクラスの矢野っていうんだけど…ちょっと話があるんだ…」
とても緊張した様子で必死さが伝わってきた。

この人、矢野くんていうんだ…。と心の中で呟きながら、これまでの記憶をたどった。
矢野くんとはほとんど話したことはなく、あいさつを返す程度だ。
何の話なのか全く検討がつかなかった。
矢野くんの緊迫した様子を見ていると僕までそわそわしてくる。

「何の話しですか?」

「あの…えっと…桃井さん、好きです!付き合って下さい!」

「え!?」いきなりの告白でビックリした。
千本木は例外として、男と付き合うなんて考えただけでも寒気がする。
どう断ろうかと必死で理由を考えた。

なんとか助けてもらおうとチラッと目をあげると、千本木は今にも何か言い出しそうに矢野くんをにらんでいる。
ヤバい!
僕は焦って、とっさに答えた。
「あっ、あのー、今、付き合うとかは考えられないので!ごめんなさい!!」

「そ、そうなんだ…じゃあ、お友達からでもダメかな?」
矢野くんはうなだれていたが、あきらめきれない様子で聞いてきた。

友達でも付き合うことを意識するなら絶対に嫌だ。
でもどう返事をしていいのかわからず僕は困った。
すると、千本木が口を開いた。
「ごめん。俺達、これから予定があって急ぐから。行くぞ、桃井」
力強い口調で言い切り、僕の手を取ると、くるりと正門の方に向きなおりスタスタと歩き出した。
千本木の行動に驚きながら僕も合わせて歩く。

「え!?ちょ、ちょっと」
背後から矢野くんの戸惑う声が聞こえたが僕たちはそのまま歩き続けた。

正門を出て二人ともしばらく無言で歩いた。

沈黙を破ったのは僕だった。
「あの、千本木…ありがとう。助かったよ」

すると千本木はため息をついた。
「あーあ、本当は桃井は俺と付き合ってるっていうつもりだったのに…あきらに先越されたよ。」

千本木より先に答えてやっぱり正解だったと思った。
「バカっ!何考えてるんだよ。バレたら桃井さん何するかわかんないんだから。千本木は全然わかってない!」
僕は怒り気味に言った。

「わかってないのはあきらの方だろ」
「え?」
千本木は僕のほうに向きなおり、真剣な顔で言った。
「俺はあきらが好きだから、あきらが他の奴に告白されるなんて嫌に決まってんだろ。あきらが俺と付き合ってるって公認になることで、言い寄ってくる奴がいなくなるなら俺はその方がいいから」
千本木のストレートな言葉に僕は顔が真っ赤になった。
僕の心は千本木の熱い思いにギューっと押さえつけられたようになって、ドキドキが止まらなかった。
笑顔を見た時よりも激しいドキドキに、僕はわけがわからなくなって一方的に話を終わらせた。

「わ、わかったから、もう帰ろっ」

そう言って僕は足早に歩き出した。
千本木の言葉が頭から離れなくて、周りが見えていなかった僕は前から来た自転車に気付かなかった。
「あきら危ない!」
「え!?」
危うくぶつかりそうになった時、千本木が僕の腕を掴み、引き戻して助けてくれた。
「あきら、大丈夫か!?」
千本木に掴まれた腕がカーッと熱くなった。
「やっぱり一人で帰るっ」
これ以上ドキドキしたらどうなってしまうのだろうと怖くなった僕は、千本木をふりほどいてその場から逃げ帰ってしまった。

小説を読んでくださった方、ありがとうございます!
小説を書くのは初めての挑戦でして、もえじろさんに色々と教えていただきながら書きました。
ストーリーについてですが、付き合っているのが公認になる前なら、あり得る話だよなーと思い付き書いてみました(^-^)
矢野くんはもちろん私が勝手に考えました(笑)
ドキドキしている時のあきらの心理描写を、なるべく丁寧に表現するよう心掛けたので、読んでいただけたら幸いです。
苦労したのは、終わり方です。なかなかスッキリ終わらせるのは難しいなと感じました。
未熟な作品なので、皆さんの納得いくものにはなっていないとは思いますが、ご了承くださいm(__)m

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いただいた感想一覧

みみ   投稿日時 2009-12-14 16:25
もえじろさん、ゆささん、コメントありがとうございます!書き込みが遅くなってしまいすみません(><)


もえじろさんへ>はい、できたら次の作品も書きたいと思っております(^-^)
今後を気にしてもらえる矢野くんは幸せ者です(笑)
次回作までに文章力をもっと身に付けたいと思います(>_<)


ゆささんへ>×××の世界観をそのままに表現してしまったために面白味が欠けたかなーと思ってます(>_<)もっと自分らしさを出しても良かったのかなと…。いやー、お話を書くって難しいですね。
矢野くんについてですが、千本木の引き立て役みたいになってしまいました(笑)千本木が魅力的なキャラなので仕方ないですね(笑)
ゆささんの作品、とっても楽しみにしています!!


アヴァルスついに明日発売ですね!!
わくわくします♪
千本木とあきらのラブラブデートを期待します(笑)
ゆさ  投稿日時 2009-12-12 0:16
みみさん、初小説の掲載おめでとうございます(^^)/
ペケ3つの世界の雰囲気をそのまま感じさせてくれる、ステキな作品ですね。
こういうシチュエーション絶対あるある〜と思いながら読ませていただきました。
あきらも千本木もホントにこんなこと言ったり・したりしそうですよ。
ところで矢野くん、登場してすぐに玉砕ですね(^^;)
かわいそうに(><)
でもライバルが千本木じゃ、きびしいかも。傷心を癒してくれる相手が見つかればいいのにね…なんて心配しちゃいました。
みみさんの次回作、期待してますよ〜!

私の作品は勢いで書き上げたものの、ただ今細かい部分を見直し・手直し中でして、少しお時間をいただいております。
もう少ししたらお目にかけることができると思います☆
もえじろ  投稿日時 2009-12-11 23:56 | 最終変更
みみさん、まずはお疲れさまでした(^^)
メールでもお返事しましたが、矢野くんのこの後が気になります。。
ぜひ「矢野くんの反撃」をお願いしますね〜(^^)/